日本財団 図書館


ただ、このときに、ちょっとヨーロッパと違うところは、ホールがそれぞれ自分のソフトを持っていて、それで芸術運動をやっていくというのが本来的な姿なんですけれども、我が国の場合は、独立している各芸術団体に出演交渉をして出てもらって、企画を立てて、いろいろなコンサートをやっていくという形をとらざるを得ないという形になっております。そのために、最近、いわゆるアートマネージメントという言葉が非常にクローズアップされて、重要視されるようになってきたということがあるので、ちょっとこの辺は欧米と比べるとかなり変則だと思います。
つまり、欧米の場合は、私が先ほど申し上げましたように、実際のアートの側にあるオーケストラやオペラのマネージメントとホールのマネージメントが完全に一体化していたわけで、本当はそれが理想なんですよね。ですから、皆さんもホールで自分のソフト、合唱団でもいいし、もちろんオペラ団でもいいし、オーケストラでもいいですけれども、そういうものをお持ちになっていて、それを運営しながらホール経営する。つまりそれがマネージメントそのもので、本当は理想的なんですが、我が国ではそういう格好になっていないということが残念です。
この芸術家及び芸術団体、それから文化施設、これは、当然のことながら、経済的に成り立つ組織ではありません。幾ら稼いでも、それで全部賄うということはできない団体です。そのために、ここではどうしても赤字になる部分をどこかからお金を入れてこなければならない。その入れてくる先が、日本では今、国庫、つまり文化庁を窓口にして国庫からの補助金をもらう、それから、今これは特殊法人になっていますけれども、芸術文化振興基金というのができておりまして、これからのお金を入れる。それから地方自治体ですね。皆さんが今おられるようなホールの場合は、ほとんど地方自治体がお金を出してつくられたり、その後も補助金をお出しになったりして運営されているところが多いはずです。
それから企業財団、企業財団というのは、文化庁が、割合と最近ですけれども、この10年ぐらいになりますでしょうか、いわゆる助成財団というのを奨励いたしまして、利益還元のような形で、企業に利益の一部を積ませて、基金をつくって、それで文化助成をする。文化助成をするという目的だけで財団の認可を与えるという形の助成財団というのがたくさんできました。これが今、幾つぐらいあるか数は覚えていませんが、大体20から30ぐらいありまして、いろいろな種類の文化助成をしています。
これはもちろん独自にそれぞれの財団がコンセプトをお考えになるわけですけれども、例えばJT、日本たばこのアフィニス財団は、たしか150億ぐらいの基金で、オーケスト

 

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION